「健康・医療の街づくり」開発ストーリー

ビエラ岸辺健都

一つの商業施設に終わらない。
新たな街づくりと意識改革にかかわる仕事。

チームメンバー

  • 田中 利興

    都市開発本部 事業戦略部開発企画課 担当課長

    田中 利興

    Tanaka Toshioki

  • 杦田 吉希

    都市開発本部 事業戦略部CRE戦略課 課長代理

    杦田 吉希

    Sugita Yoshiki

  • 松井 祐介

    都市開発本部 事業戦略部開発企画課 課長代理

    松井 祐介

    Matsui Yusuke

  • 津田 泰介

    都市開発本部 事業戦略部CRE戦略課

    津田 泰介 2016年入社

    Tsuda Taisuke

    先輩社員インタビュー

30ヘクタールの広大な更地から、「健康・医療のまちづくり」が始まった。

Q

一般的な駅前商業開発とは、求められる機能も規模もケタ違いだったとか?

田中

「健都」というのは北大阪健康医療都市のことで、吹田市と摂津市にまたがる「健康・医療のまちづくり」プロジェクトなんです。先端的な医療施設や健康・予防に関する環境整備を行うことで、健康寿命の延伸に貢献するというもの。
その中核となる商業施設が、我々の関わらせてもらった「ビエラ岸辺健都」です。

杦田

位置的にも、JR岸辺駅に隣接して、国立循環器病研究センターと市立吹田市民病院の間にある。
そこに建てる商業施設として、どういった役割を果たすべきか。単に箱をつくるだけでなく、何十年先もコンセプトを貫いていける施設をつくることが、今回の大きな課題でした。

松井

これは提案型プロポーザルという入札形式で、入札価格だけではなく提案内容が評価され事業者に選定された案件です。私は後半から参加したのですが、最初のコンセプトづくりがかなり大変だったと思います。会社としても、初めての試みでしたから。

通院する人も、まだ健康の大切さに気づいていない人も。

Q

どのようにコンセプトを決めていったのですか?

田中

健康ってどういうことか、街づくりとして求められることは何なのか。
「健都」の関係するプロジェクトも同時進行で動いていたので、周辺のまちづくりに併せて施設のコンセプトを考えていく、という感じでした。

本施設の目的というのは、大きくわけると2つあるんです。一つは、地域医療の連携と地域包括ケアシステム。住まい・医療・介護・予防などを提供する機能です。もう一つは、予防医療や健康づくり。地域の人々に健康の大切さに気づいてもらうこと。

その取り組みをサポートし、健康・医療のまちづくりに貢献していくことを、「ビエラ岸辺健都」のコンセプトとしたのです。

杦田

ただ、健康・医療にかたよりすぎても、地域の人々とは距離感ができてしまう。だから、「健康増進機能」に重きをおきつつも、一般の人も利用しやすい「生活利便機能」も盛り込むことをコンセプトにしたんです。

Q

摂津市と吹田市、2つの大きな病院。関係者が多いだけに調整がむずかしそうです。

田中

構想が大きいだけに、それぞれが求める理想形も少しずつ違う。どんな街づくりをしていくか、何度も何度も協議を繰り返しました。

津田

私が参加したのは、最終的な契約手続きの段階だったのですが、登場人物がめちゃくちゃ多くて。経験の浅い私にとっては、毎日がチャレンジの日々でした。

松井

いやいや、みんながもう必死でしたよ。それでも、最初のコンセプトが明確だったのでブレずにやり切れたのだと思います。

カギは、決めたことを最後まで貫くこと。

Q

健康・医療のまちづくり。明快なだけにテナント誘致はやりやすかったでしょう?

杦田

いえいえ、最初はまったく相手にしてもらえなかったんです。当時は何もないただの空き地でしたから、健康医療都市と言われても誰もピンとこない。主旨を説明しても、皆さん口をそろえて「よく分からない」と(笑)。

田中

「大きな病院が来るといわれても、建物が出来るまでは街づくりのイメージができない」という反応でしたね。

杦田

そんな状況でも、一番気を付けていたのは、強引な説得はしないということ。「健都」の考え方にしっかり共感して、「一緒にやりたい」と思ってくださるテナント様を見つけることが目的でしたから。

Q

共感してもらえるテナント様にこだわった理由は?

杦田

健康・医療のまちづくりって、短期間でかんたんに実現できるようなことではないですから。長く粘り強くつづけていく必要があります。売上げが上がるときも、厳しいときも一貫して、工夫しながらメッセージを発信してくれるテナント様に入っていただかないと、途中で尻すぼみになってしまう。
だから、とにかく数をあたって、共感してくださるところを探しつづけました。

津田

「かるしお認定定食」を提供されている飲食店は、分かりやすい例ですよね。

松井

「かるしお」というのは、「塩をかるく使っておいしさを引き出す」減塩の考え方。国立循環器病研究センターが推奨していて、塩の代わりにダシを使ったりしておいしく仕上げるんですよ。
でも、作る手間はかかるし、お客様もゆっくり召し上がる方が多い。回転率はよくないのでビジネスとして難しい部分もあるのですが、業態開発からおねがいして、商業施設内では全国初の出店をしていただくことができました。

津田

オープンしてみると、通院されている方だけでなく、一般の方も多く来てくださっているようです。
その他にも、介護食を店頭販売される牛丼チェーン店や、スキマ時間に受診できる無料健康チェックとか。施設としては、ホテルやフィットネス、保育園やデイサービスも入っています。

新人でも、「自分でやり切った」証を残してもらう。

Q

非常にチャレンジングなプロジェクト。入社3年目の津田さんには、どのような役割分担を?

松井

津田くんと私は、ほぼ最終段階から参加したので、契約関係を任せていました。取り決めの内容が複雑だったのと関係者が多いので大変だったと思うけれど、黙々とよく頑張ってくれました。

津田

いやー、会議室の椅子の発注では、あぶない場面もありましたが(笑)。

松井

そんなことあったね(笑)。重ねられない簡易椅子が届いて、部屋が椅子だらけになった(全員爆笑)。

杦田

やってくれたよねー(笑)。まあ、でも、自分でやり切ることが大事ですから。
自分で考えてやり切った、という証を残してもらうことが大切なんです。椅子とかトイレ案内のサインとか、一つひとつは小さなことだけど、彼がひとりで選んで、上長に決裁を取りにいって。施設が完成したあとで「この椅子、自分が決めたんだ」と思ってもらえるものを残してほしかったので。
実際に、お客さんが座っているのを見て、嬉しかったでしょ?

津田

そうですね。開業日に多くのお客様が来てくださって、すき間なく座っている光景を見たときはうれしかったです。まるで、いつもの使い慣れた待合室みたいな雰囲気で。
とくに、共用スペースの椅子はいろいろ悩んで決めたので、ものすごく感慨深かったです。

杦田

多少の失敗があったとしても、そこは先輩たちがフォローするので、しっかりやり切りなさいと。

松井

担当者としてやりたいことをやれというのは、会社の文化としてあります。もちろん、任された人はしっかりやらないといけないけれど、何か問題がおこっても「みんなで解決しよう」となる。

持ち前の提案力をいかして、もう一つ上のステップへ。

Q

チャレンジの多かった開発プロジェクト。今後に活かしていけますね。

田中

今回のような提案型プロポーザルの公募案件。当社にとっては初めての取り組みでしたが、メンバー全員がコンセプトを理解して動いてくれたことで、目指していた形にできあがったと思います。

松井

正直、どうなることかと思う場面も多々ありましたよね。それでも、コンセプトが明確だったので、ブレそうになっても立ち戻ることができた。

津田

そうですね。「迷ったときは、利用されるお客様の気持ちになれ。コンセプトを忘れるな」とずっと言われてました。

杦田

それはとても大切なこと。商業施設をつくるというのは箱をつくることではなく、訪れるお客様一人ひとりの日常に関わること。街づくりという視点で考えれば、多くの人生に関わるような仕事だから。お客様の気持ちになるのはとても難しいけれど、絶対に忘れてはいけないことです。

このプロジェクトに参加させてもらって感じたのは、駅を中心にした商業施設開発や街づくりをつづけてきた蓄積が、提案力という当社の強みにつながっているということですね。

田中

本当にそうだと思います。でも、まだまだ勉強していかないといけないね。
ビエラ岸辺健都はかなりチャレンジングではあったけれど、社会的に評価されたポイントや、プロジェクトを進めるなかで見えてきた課題点もある。それらを活かして提案型案件にも参加していますし、その成果も徐々に出てきている。これから、開発の一つの柱になっていくと思います。

津田

私もここで学んだことや経験を活かして、先輩方のように誇れる仕事をしていきたいです。

松井

そうそう、失敗もたくさんしてな(全員爆笑)。

※ 所属部署は、インタビュー当時の部署を掲載しております

携わった先輩インタビュー

  • 高架下商業施設の開発 ふくまる通り57
  • 高架下商業施設の開発 ビエラ野田
  • 健康・医療の街づくり ビエラ岸辺健都
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  • 駅ビルの開発 ビエラ大津
  • 高架下商業施設の開発 ビエラタウン玉造