駅ビルの開発ストーリー

ビエラ大津

築41年の駅施設をリニューアル。
若手の情熱が県庁所在地の駅前を変えた!

チームメンバー

  • 長井 文和

    都市開発部 品質・安全課 課長代理

    長井 文和

    Nagai Fumikazu

  • 藤本 絵理

    都市開発部 開発I課

    藤本 絵理

    Fujimoto Eri

  • 後藤 創

    都市開発部 開発I課

    後藤 創

    Goto Sou

活気あふれる駅前を目指して、若手2人の奮闘が始まった。

Q

人通りが少なかったJR大津駅。テナント誘致に苦労されたそうですね?

藤本

JR大津駅ってもともと乗降客が約35,000人もある駅なんですが、ほとんどのお客様が通勤通学の方。ラッシュ時間外にテナント様が物件を見に行ったときに、あまりにも人が少なくて、「ほんとに35,000人ですか」とよく言われました。だから「見に行くなら朝か夕方にしてください!」とお願いしていたくらいなんです(笑)。

後藤

県庁所在地の駅前なのに、正直私たちも面食らうような状況でした。

藤本

快速電車1本逃がしたら、時間をつぶせる場所がない。ただホームのベンチに座って待つだけ。そんなところからの開発でした。

後藤

僕は当時まだ入社したてで、何をどうしていいのか何ひとつ分からないような状態で。「滋賀県の県庁所在地・大津の顔としてふさわしい飲食店を探す」というお題を藤本さんから与えられて、とにかく奔走する毎日でした。

長井

私は工事が始まる少し前にこのプロジェクトに参加しました。実際に工事が始まり現場に入ると、ゼネコンや現場との協議や調整が始まって更に専門的になるので、私がフォロー役として投入された。
ですからプロジェクトの初期、テナント誘致やJR西日本との調整はこの若手2人でやっていたんですよ。傍から見ていても大変そうで、当時は少し切羽詰まったような表情をしていましたね。

地道に積み重ねた説明が、ポジティブな想いを育てていった。

Q

そんな「人通りの少ない」駅への出店交渉、どうやってテナント様を説得したんですか?

藤本

現状だけをみたらネガティブな思いを持たれるのは当然かもしれないけれど、テナント様にはポジティブになってもらわないといけない。この場所の価値を知っていただけるように、手を変え品を変えいろいろな話をしました。

後藤

調べてみると、たとえば県庁が近くにあって、オフィスもないわけじゃないんです。JR大津駅というのは滋賀県へ来る人の玄関口。人が少ないのは、駅前に人を集めるような仕掛けがないから。何かをしていけば、自然と人は集まるようになるという話を丁寧にしていきました。

藤本

ご理解いただけるまで地道に話を積み重ねました。正直、誰も彼もが是非やりたいというような場所ではなかったので、そこは私たちが汗をかきました。 何百件と断られた中でやっとお互いに合意できたテナント様なので、それはもう思い入れがあります。

情熱だけでOKをもらえるほど、ビジネスは甘くない。

Q

先方の気持ちを変えたポイントは何だったのでしょうか?

後藤

振り返って思うのは、テナント様は滋賀県の会社も多く、どこかJR大津駅の状況が気になっていたのではないでしょうか。だからこそ、そこを変えるプロジェクトに共感いただけたのかなと思います。

藤本

滋賀らしいものをというイメージがすごくあったので、リーシングの時にもそういうお店を入れたいという想いがありました。

長井

テナント様からしても、乗降客が少なくても駅は駅。そこは強みではありました。日々電車をご利用されるお客様がいらっしゃるわけですから、その方々の心を掴めばどんどん人が来る。

藤本

ただ、十数年もやっていただく前提なので、情熱だけでテナント様からOKをもらえるほど甘くはないです。

長井

この2人もこのプロジェクトを通して成長したというか、厚かましくなったというか(笑)。でも厚かましくならないとやっていけないんですよ。最初は遠慮がちでしたが、だいぶたくましくなったと思います。
プロジェクトを背負わせている以上、詳細は本人が一番知っている。僕らは報告を聞いての判断なので、現場の判断とは違ってくるところもあるんです。やってみないとわからないところもあるというのは、終わってから私も思いました。

真に身に付けるには、自分の責任で実際にやってみるしかない。

Q

大きなプロジェクトのリーダーに、入社4年目の若手をあてるということに、会社としての迷いはなかったんでしょうか?

長井

経営幹部の考えは、「実際に自分の責任においてやってみないと、真の意味で身に付かない」ということだったんじゃないでしょうか。その分、僕や管理職がきっちりフォローしなさいということ。人材を育てるためにはある程度任せることが必要だと思います。

藤本

私はビエラ大津で3件目の物件でした。1件目、2件目は勉強しながら指示をこなしていくサブのポジションで携わっていたので、ある程度の流れは分かっていたんですが、このビエラ大津のプロジェクトで、もうひとつ先に進ませてもらったと実感しています。もちろん、放ったらかしというわけではなくて、先輩方にサポートしてもらったので何とかやり遂げることができました。

長井

部内のコミュニケーションがよくとれているので、何かあればすぐに周囲に相談していましたね。

経験が足りない分は周囲のフォローでカバー。

Q

築41年という古い駅舎の改修工事は、会社としても初めてのプロジェクトだったそうですね?

後藤

新築と違って改修工事は、既に建っている建物を工事するので、解体してみないと分からないところがあるんです。僕たち若手は経験が足りず、そのことをきちんと把握できていなかった。

藤本

テナント様にお貸しする予定の区画に、水道管などの配管があることがわかりました。当たり前ですが、テナント様は当初の計画通り区画をすべて使いたいと希望されて・・・。それをまとめるのが大変でしたね。

長井

結局この件は、駅施設側を一部使わせてもらえるようにJR西日本側と交渉して、テナント様の希望に応えることで落ちつきました。

藤本

壁の位置についても当初の計画から変わりましたからね。新築だったらまずありません。面積が変わると、契約内容を大きく見直さなくてはならなくなりますからね。当社の社内ルールと世間一般のルール、そしてテナント様のルールと、3つのルールの中から最善策を見つけるという作業は本当に大変でしたが、今後のよい糧になったと思います。

経験がないからこそ、既成の枠にとらわれずに発想できる。

Q

リニューアルオープンのパンフレットも若手2人が手がけられたんですね?

藤本

今回、「JR大津駅が新しくなりました」というメッセージを伝えたかったので、単なる施設の紹介に終わりたくなかった。目を引くような色を使ったり、旧大津公会堂など街のランドマーク的なイラストを入れてもらったり工夫をこらしました。各テナント様の説明文も、従来のやり方では不公平のないよう等分にスペースを割り当てるんですが、今回は滋賀らしさのある特徴的な店舗を大きく、コンビニなどは小さめにとメリハリをつけたんです。ただのお店紹介ではなく、ビエラ大津のコンセプトが伝わるような構成で作りましたね。

長井

こういうパンフレットを作ったのは初めてでした。普段は作りません。それを上司に納得してもらうのはなかなか大変だったようですね。本当に必要なのか、効果があることを証明できるのかみたいな。通勤通学のラッシュ時以外、人通りが少ない場所にどう人を集めるのかというのは、2人なりにずいぶんと悩んで考えたようです。このパンフレットはJR大津駅やタクシーの車内など、色々なところで配っているんですよ。

役員へのプレゼンも経験のうち。コミュニケーションが人を育てる。

Q

若手の挑戦を成功に導いた、御社ならではのやり方というのはありますか?

長井

当社では、役職は関係なく担当した者が役員に直接決裁を取るのが基本。人前で話したり説明したりするには、場馴れも必要です。若手であっても担当者が役員を回ってプロジェクトの説明をする。こうした経験は、社外での打ち合わせや協議で役に立ちます。たどたどしくも喋れるようになったのは、こういう理由もあるのかなと思いますね。

藤本

社長からも直接質問されます。当社では若手でも経営トップとコミュニケーションがとれるので、会社がどういう考えを持っているのかがダイレクトに伝わってくる。会社が何を考えているのか、どこを目指そうとしているのかを、常に意識することができます。

見られることは欠点ではなく長所。発想の転換が街をアトラクティブに変えた。

Q

今回のプロジェクトで大津市の活性化に貢献できたと思いますか?

藤本

ビエラ大津の特徴は、とても線路に近いということ。あそこだったら走る電車の中からでも、バーベキューをしている様子や卓球をしている様子が見える。今まで大津を訪れなかった人に、興味を持ってもらえるキッカケになり得たのかなと思います。それだけでも、今までとは変わってきているのではないでしょうか。

長井

JR大津駅は新快速も停車しますし、便利な駅なんです。食事など、今までだったら京都で済ませていたことを「大津で」となっているのかもしれませんね。

後藤

今回は駅に隣接していて電車から見られることを最大限に活かしたレストランやホテルを作っていただいた。我々としてもJR大津駅の魅力を発信するという意味で、素敵なテナント様と組めたと思います。ホームから見えるということをいかに活かすか。40年以上、ほとんど誰も気付かなかった視点なんじゃないでしょうか。ガラスを透明にするなど、お互いに知恵を出し合い協力して、建物の価値を高めることができたのは良かったですね。

藤本

もともと大津市って、街の中心が駅から離れたところにあって、駅前にはそれほど人がいなかった。私たちは「駅から始まる街づくり」というスローガンでやっているので、今回も都市軸をつくろうというのがコンセプトでした。駅だけで終わるのではなく、街全体に広がっていければと思っています。

担当者のこだわりが街の魅力を左右する、だから絶対に手は抜かない。

Q

駅から街へ広がるとは、具体的にはどんなふうに?

藤本

今回ビエラ大津の1階には、大津市観光案内所が入っています。地域と連携したイベントを企画したり、中で売っているおみやげも大津の商店街のものを取り扱うなど、様々な取り組みをしています。

長井

国内外からの観光客を呼び込むためのカプセルホテルも有効に働くと思います。京都から2駅9分くらいで来ることができますからね。ついでに大津も観光しようかと案内所にきて、そこから広がっていくというイメージ。レンタサイクルも使えるので、自転車で観光するのにも拠点になりやすいと思います。

Q

プロジェクトを振り返って、印象に残っていることを教えてください。

後藤

メディアなど、報道でも「JR大津駅が良くなった」と言ってもらえているというのは単純に嬉しいですね。滋賀らしさにこだわってやってきたところが、ひとつ報われたのかなという想いがあります。

藤本

テナント様から賃料をいただければそれでいいということではなくて、担当者がどれだけこだわりをもって取り組めるかが、施設全体の魅力を左右すると思うんです。そういう意味では私たち担当に任された責任は重大でした。でも蓋を開けてみれば、オープン前は歩いている人もいなかったところに、今は行列までできている!いいものを作れたと自信を持って言うことができる。頑張ってきて良かったなと思います。

※ 所属部署は、インタビュー当時の部署を掲載しております。

  • 高架下商業施設の開発 ふくまる通り57
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  • 健康・医療の街づくり ビエラ岸辺健都
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