高架下商業施設の
開発ストーリー

ビエラ桃谷

駅から街全体の活性化を目指す
新しいステージへの鍵は「ゆとりと心地良さ」。

チームメンバー

  • 羽山 哲也

    高架下事業部 開発課 課長

    羽山 哲也

    Hayama Tetsuya

  • 大和 貴志

    高架下事業部 開発課 課長代理

    大和 貴志

    Yamato Takashi

  • 中村 卓

    高架下事業部 開発課 主任

    中村 卓

    Nakamura Suguru

  • 田中 優希

    高架下事業部 開発課

    田中 優希 2016年入社

    Tanaka Yuki

    先輩社員インタビュー

  • 小杉 雅也

    高架下事業部 開発課 係長

    小杉 雅也

    Koshugi Masaya

「高感度」というコンセプトが、街のイメージをガラリと変える。

Q

大阪環状線改造プロジェクトの第2弾としてスタートしたビエラ桃谷プロジェクト。とてもオシャレな施設で、周辺住民の方からも喜ばれていると聞いています。

小杉

今回のプロジェクトではいわゆる「高感度な街」をコンセプトにしたかったんです。誘致するテナント様も、どの街でも見かけるようなチェーン店ではなく、オシャレで高感度なテナント様にこだわった。ただ実際に誘致するにあたっては、そのコンセプトにピタリとハマるテナント様を見つけ出すのが難しかったですね。何百件と当たっていく過程で、まるでゴールの見えないトンネルの中にいるようでした。

田中

もともと桃谷は昔ながらの下町といったイメージがあるのですが、そんななかにも高感度な店を求める層はいらっしゃる。でも、出店する側には下町のイメージが強いので、そこを埋めるのに苦労しました。

小杉

利益や効率を重視する開発であればテナント探しも難しくはないのですが、今回はそうではない。コンセプトに添わないテナント様には声がかけられなかったので、非常に苦しかったですね。

田中

環状線改造プロジェクト全体の基本的な考え方として、環状線のイメージをどんどん変えていこうという目標があります。だからコンセプトには忠実に、そこは先輩方がこだわったところなんです。

小杉

一番最初に「こういうものを桃谷に作りたい」という明確なビジョンがあった。それに合うテナント探しは、いわば恋人探しみたいなものです。妥協はできない。

羽山

だいぶん、振られ続けたね(笑)。

小杉

そうですね。今回入っていただいたカフェのお店も、もともとは1店舗分のお話だったのを、最終的には2倍の面積に増床してもらったんです。テナント様に増床のお願いをすると「実はうちも、そのくらい使いたかったんです」とお返事をいただいて。

田中

結果的に良かったんですよね。

羽山

我々の思惑通りに、ハードもソフトもいい方向へ進んでいった。それも、プロジェクトメンバーみんなが情熱をもってやっていたからこそだと思います。

地域に安らぎと快適さをもたらす場所を目指して。

Q

オシャレなだけでなく居心地も良い、本当に快適な空間ができましたね?

中村

そうですね。カフェのデッキ席から道路側を見たときに、何もないと自転車置き場とかが目に入るのですが、斜面の植木が見渡せると、視線も遮れる。心地いいのはそういった要因があるかと思います。

小杉

高低差のあるところをいきなりドンと落とすのではなく、緑を植えて落としていった。そこは、中村さんが非常にこだわったところなんです。

羽山

最初は緑地帯をこんなに広くとっていいのかなという不安もあったのですが、みんなで信じて推し進めていったのが良かった。

小杉

あの緑地帯の空間があるからこそ、施設全体の価値がまた一段向上している。カフェが道路に面しているだけじゃだめなんですよね。ゆとりの通路とベンチが緑のなかに埋もれて、店舗内の雰囲気がそのまま外部ににじみ出るようなデッキがあって。上にオーニングをつけているんですが、それが良く調和している。

中村

実は細部にもこだわっていて、駐輪施設にもグッドデザイン賞を受賞したオシャレなラックを入れてるんですよ。駐輪ラックだけ生活感があると全体から浮いてしまうので。

田中

皆さんのそういった思い入れの強さは本当にすごいと思います。今回学ばせてもらったところです。外壁の色を決める場に参加させてもらったことも、よい勉強になりました。外壁、サッシ、金属の部材、天然木の色、床の色を決める段階で、一つひとつ色見本を用意してみんなでこだわって決めていきました。

羽山

色決めって大変なんですよ。実物の色見本を部屋一面に用意して、一つひとつ見ていくという作業。いくらCGが発達しても、パースだけでは決められないんです。

大和

当初は、外壁を駅舎と同じアイボリーにという声があったんですが、シックな雰囲気にしたいと考えていたので、黒でいかせてほしいと交渉した。そんなところもこだわりのひとつです。

桃谷の歴史に寄り添うことで、オンリーワンの魅力を引き出した。

Q

「高感度」ということのほかに、「桃の花」もテーマにされていたんですね?

大和

「桃谷」という駅名なんですが、昔は「桃山」と呼ばれていたそうです。山の斜面に桃の木がたくさん植えてあったという背景を踏まえて、斜面の植え込みもそれをイメージしています。

田中

ここは上町台地からだんだん斜面になっているんです。上町台地が終わるちょうど狭間のところに、桃谷の駅があって、斜面に桃の木があって、春は桃の花がきれいだったそうです。

大和

手すりのデザインも、桃にちなんで「MOMO」という文字を入れ込んだのです。

田中

JR西日本の手すりにはとても厳しい安全基準があって、そこを守りすぎるとデザイン的に合わなくなってしまう。費用と安全性とどうバランスをとるかは、大和さんに一緒に考えていただきながら進めました。MOMOの「O」の文字は、誤って子供さんの頭が入ることがないように危なくないサイズになっているんです。この手すりは、桃の木の植栽と合わせて新聞にも取り上げていただきました。自分のアイデアが形になっただけでなく、こうして反響もいただけたことは、仕事をしていくうえで大きな自信になりました。

小杉

販促物にもピンクにこだわったりしてますね。衝突防止のガラスのシールも、桃の手すりと同じデザインでおしゃれなんですよ。

羽山

振り返ってみると、何事も計算どおりに緻密に進んだ訳ではなく、思った通りにはいかなかったけれど、それが良いほうに転んでいったという部分が非常に多かったと思います。

圧倒的に不利な条件をプラスに転じた、逆転の発想。

Q

昭和初期に建てられた高架に手を入れるということで、工事面でもかなりハードルが高かったそうですが?

中村

そもそも高架下に建物を建てること自体、線路があるし、プラットホームがあるし、そういう状況のなかで建てないといけない。非常に手間がかかることなんです。 そんな前提のうえで、JR桃谷駅は古い高架橋なので高架下空間がかなり低い。さらに高架の耐震補強を実施しており、柱は太くてピッチも狭い。

田中

もう少し新しい高架だと柱がもっと細かったりするんですけど・・・。

中村

さらに敷地の状況も圧倒的に不利。一番人通りが多いところの歩道と敷地に、1mくらいの高低差がある。
フラットにするために地面を下げたくても、古い高架橋なので図面が全く残っていないんですね。いたずらに掘り下げると高架の基礎が出てしまうこともある。状況を確認するために試掘から始める必要がありました。

小杉

高低差を解決するために、建物を歩道から思い切り後退させて、高架のなかに建物が収まるようにしたんです。その結果として、ゆとりの空間が生まれた。逆転の発想というやつです(笑)。

大和

逆転の発想といえば、鉄骨を構成する部材や、ブレースという鉄骨の筋交いもかなり古くて、逆にレトロな味があった。それをデザインに取り入れるなど、古さを活かした工夫をしました。

田中

このブレースを活かしたデザインはとても苦労したんですが、個人的にすごく気に入っているんです。鉄骨の色と背面の天然木が良いコントラストになって、シックな雰囲気になっていると思います。

羽山

今回は敷地条件的には難しかったですが、結果的には今までよりも良いものができた。逆境をなんとかクリアしていこうと、みんなが知恵を出し合ったからこその結果だと思っています。

周辺の住民から絶賛の声。その瞬間、すべての苦労が報われる。

Q

さまざまな苦労があったビエラ桃谷ですが、完成して地域からはどんな声が寄せられていますか?

中村

完成の時期に囲いがとれて建物の姿が見えたときに、女子高生の「ヤバい!」という声が聞こえてきましたね(笑)。

田中

私もツイッターの画面で検索したら、桃谷が話題になっていました!

小杉

私がいちばん嬉しかったのは、ベビーカーを押しているお母さんが「うわーオシャレ!あれ絶対流行るよね」と言ってくれたこと。まさにこちらの意図通りなので、心の中でガッツポーズでしたね。

大和

私が心に残っているのは、桃谷の姿を何十年と見て来られたお婆さんに、「きれいにしてくれてありがとう」と何度も言っていただけたこと。それを聞いて、やってて良かったなと。苦労が報われるところですね。

田中

あれがメインのターミナル駅にできていたら、ここまで話題にはならなかったと思います。桃谷という場所にできたというのがサプライズであり、ここまで改造感が出せたんでしょうね。

小杉

環状線をブラッシュアップしてイメージを変えていきたいという我々の想いが、このロケーションとピッタリはまって、うまく表現できたのかなと思っています。

綿密に計算した動線で、街全体の人の流れがスムーズに動き出した。

Q

ここまでの成功を導き出すことができた秘訣は、ズバリ何だと思われますか?

小杉

当社のコンセプトは「駅から始まる街づくり」。まず何よりも、居住者の方がこの街を心地よく歩けるようにしたかったんです。

田中

大阪市がもともと整備していた歩道は、そのほとんどが歩道上の駐輪施設になっていて、歩けるところは2mくらいしか残っていなかった。それではダメだということで、緑地帯を設けてゆったりと歩いてもらえるゾーンを作りました。それにより元々の歩道にも開放感ができて、上の歩道を歩いても気持ちが良いんですよね。

小杉

街全体をスムーズに流動できる動線についても考え抜きました。

中村

事前に担当者が街頭に立って、どのような人がどのように歩いておられるかを調査したんです。その結果を見ると、商店街とスーパー、そして駅という3つの点を、同じ人が行ったり来たりされていることが分かった。もし、私たちでその動線を作ってあげられたら、間違いなく地域の方に喜んでもらえると思ったんです。

田中

イメージターゲットといって、この街で生活している人を把握して、その人の年齢や家族構成、ライフスタイルなど、想像の世界で典型的なものをイメージしていく作業があるんです。そのイメージをみんなで共有して、街全体の動線について考えを詰めていきました。

小杉

そういう事前の取り組みがあったので、我々も引くに引けない。テナント様がなかなか決まらなかったときは、サッカーのロスタイムみたいな気持ちで、ヒヤヒヤしながらやっていましたね(笑)。

従来の開発スタイルから一歩進んで、新しいステージへ。

Q

ビエラ桃谷プロジェクトが、今までの開発と大きく違う点はどんなところでしょう?

小杉

ここまでデザイン面でこだわりを貫いたのは、新しい試みでしたね。心地良い環境のなかでゆったりと買い物をしたいというのは、最近の顧客のニーズでもあるんです。今回は、お客様目線でどれだけ心地よい空間を提供できるかにこだわった。それをハード面で実現するのに走り回ったのは大変だったと思います。

中村

技術的な面、コストの面、アフターメンテナンスの面など、様々なところで今までだったら無かった選択がありました。でも逆にソフト面の担当者がアレコレ難しい注文をつけてくれたことで、最終的に良いものができたと思っています。

羽山

ここまでのものを作れた一つのキッカケとなったのは、玉造のプロジェクトですよね。列車の形という、周囲の度肝を抜く建物を作りましたから。あれでグッとハードルが上がったわけです。

田中

インパクトの玉造と、おしゃれな桃谷。2つが対比している感じですよね。

羽山

今回の開発が従来と大きく異なるのは、これまではスペースを最大限に利用して利益を生み出すことを考えていましたが、桃谷のプロジェクトでは約1/3もの敷地を利益を生まない部分として使っている。そう言う意味ではエポックメイキングなんです。

中村

結果的には、地域の方々にも社員にも、これだけ喜んでもらえた施設はなかったんじゃないかと思います。

田中

開発規模はそれほど大きくなかったにもかかわらず、JR西日本の経営トップの皆様も多く足を運んでいただき、喜んでくださったのが嬉しいですね。

小杉

そういうことって実はなかなか無いことなんです。あのJR桃谷駅にこんな施設ができたというのが評判になったんだと思います。一見無駄に見えるスペースにも生み出す価値があるということを、このビエラ桃谷でひとつ証明できたんじゃないでしょうか。

羽山

いい施設を作ったらお客様をはじめ多くの方々に喜んでもらえる。そんなシンプルなことも今後は頭に置きながら、よりよい開発を目指していけるのではと思っています。

※ 所属部署は、インタビュー当時の部署を掲載しております。

携わった先輩インタビュー

  • 駅ビルの開発 ビエラ大津
  • 高架下商業施設の開発 ビエラ玉造
  • 住宅の開発 J.GRAN THE HONOR 下鴨糺の杜
  • 高架下商業施設 ビエラ桃谷
  • 複合商業施設のリニューアル開発 ビエラ山科